コラム

Published on 2017/8/28

Naokazu Terada

コラム

2017/8/28

Naokazu Terada

KARAPPOには僕を含めて2名のエンジニア1がいます。受注案件メインの小さなデザイン会社なので、ほとんどの場合それぞれが別々の案件に並行してあたっています2。そのため、自社プロダクトの運用がメインの会社や、たくさんのエンジニアがいる制作会社と比べると、テック系の話題について社内で話すことも少なく、同時に刺激を受ける機会も少ないのではないかと思います。

そんな日常の中でエンジニアとして常にスキルアップしていくためには、積極的に刺激をうける努力が必要です。こうした問題は、フリーランスの方や、リモートで仕事をされている方も少なからず共感していただけるのではないでしょうか。この記事では、そんな孤独なエンジニアさん達に向けて、テック系ポッドキャストの有用性について紹介したいと思います。

ながらは効率的

ポッドキャストを聞く習慣のない人からすると「トレンドを追いたいなら、ブログを読めば良いのでは?」と思われるかもしれません。確かに、特定のテーマについてまとめられたブログ記事をじっくり読んで理解を深めるというのは、非常に有用ですし、技術ネタがまとまったポータルサイトなどもあるので便利です。ただ、個人的には普段の業務時間の中で情報収集に割ける時間は非常に限られています(落ち着いている時期でない限り、ほぼゼロです…)。そんな生活でも移動時間や家事をしている時間、就寝前など、何かをしながら聞く習慣をつければ、情報取得機会を生活の中に予め挿入してしまえるという点で、活字メディアよりも音声メディアの方が都合が良いのです。

本音やニュアンスが伝わってくる

音声メディアは現時点ではまだサーチエンジンの検閲外だということもあって、活字メディアでは出てきにくい本音がぽろりと出てきたりもします3。また、言外の微妙なニュアンスが伝わってくる点もとても良いところだと思います。活字メディアだと、どうしても無意識的に建前のようなものの影響を受けてしまったり、文章が整えられてしまうことで、筆者がどれくらいの熱量で推薦しているのかについては測りかねる部分があったりもします。今週一週間の技術トピックスまとめのような配信している番組では、ある程度セレクトされた内容を、効率よく得ることができます。そして、話し手の雑感と合わせて配信されるので、活字メディアよりも温度感がわかるのが良い点です。

継続的デリバリー

色々なポッドキャストを購読していると、会社名義の番組もあれば個人名義や有志のグループなど、色々な運営母体があります。それらで共通して話題に上がるのが、いかにして継続的に番組を発信するかというテーマです。例えば、Googleカレンダーに収録の予定表を公表してみたり、フリートーク系の番組では各エピソード内に毎回同じコーナーを入れてみたり、機材や環境に凝ってみたり、他にも様々な工夫でなんとか継続性を高めようと努力されている様子が伺えます。そうした様子がリスナーにも見えるのは、ポッドキャスト特有の面白さではないでしょうか。

エンジニアに限らず社会人にとって『継続性』というのは普遍的なテーマです。ここで試されているノウハウは、別の場面でも役立つヒントになると感じます。そして、そこまでして情報を発信するということの重要性も、ホストの皆さんの試行錯誤の様子から逆説的に感じることができて勇気付けられます。

その他の話題

ホストの方々はOSS4のコミッター/オーナーである場合が多く、僕もGitHub上でOSSの運用をしているのですが、そういう話ができる人が周りにいないので、その辺りの話が聞けるのも非常に貴重だなと思います。また、他の会社の中の話、技術スタックや働き方などの話題について聞けるのもとても参考になります。また、ガジェットやゲーム好きな人も多いので、そういう話題も多いです。僕は昔からゲームとは縁遠い人生を歩んできましたが、話しを聞いているうちに俄然興味が湧いてきてしまいました。

独自のコミュニティ形成

ホストの方々のなかには自身の番組のことを「ラジオ」と言っている人が意外に多く、「リスナー」とのコミュニケーションをTwitterを通じてとっているので、ブログよりも親近感が持てます。例えば、Rebuild(後述)のようにサポータープログラムがあったり、Backspace.fm5のようにリスナー専用のMastodonインスタンスがあったり、Yatteiki.fm6はやっていき場というスペースの運営をしているなど、各番組ごとに独自の方法でコミュニティを形成しています。

得られる情報の密度が高い

Rebuildの@miyagawaさんは以前、新しい技術の概要をつかむためにスクリーンキャストを見ることがが多いとおっしゃっていました。ローカルに環境を整えて試すのは、意外と本筋ではないところで詰まったりして効率が悪い場合があるので、経験を積んだエンジニアであれば、スクリーンキャストを見る方が、知りたいことが効率よく掴めて理にかなっています。スクリーンキャストを見れば、使った気になれるのです。

少し強引かもしれませんが、僕はポッドキャストを聞けば、使い倒した気になれると思っています。特定の技術テーマについて掘り下げるエピソードでは大抵、熟練者が話してくれます。熟練者の率直な感想が聞けると、既知の問題点などについてもあらかじめイメージすることができとても有益です。

百見は一聞にしかず

人は書くときよりも自然とわかりやすい表現を選んでいると思いますし、話し言葉の方が頭に入ってきやすいです。また、聞き手が上手だと素朴な疑問を代わりに聞いてくれたりするので、「百聞は一見にしかず」の逆で「百見(=ブログ)はー聞(=ポッドキャスト)にしかず」だなぁと感じます。

今まさに”Podcast”復興期?

Googleトレンドで”Podcast”を見てみると、2006年くらいに第一の波がきていて、長い間落ち着いていましたが、ここ数年でまた徐々に復興していきています。自分自身の体感としても、特にテック系の番組が増えたことによって、盛り上がっている印象を受けます。日本だけでなく、海外でもたくさん面白そうな番組があるので、英語のリスニング素材としてもいいのではないでしょうか。

おすすめの番組

1. Rebuild

http://rebuild.fm

日本語テック系ポッドキャストの草分け的存在。「いいとも」的な長寿番組です。この番組に影響を受けたと公言するポッドキャスターも数知れずです。最近の回で、技術ネタ的に面白かったのはこのエピソードです。OSまで作っちゃうスーパーエンジニアの@higeponさんがDeepLerningフレームワークのKerasを使ってチャットボットを作った話が聞けます。最近は、テック要素少なめの回も多いので、過去エピソードから面白そうなものをつまみ食いしても良いと思います。エピソードのタイトルがどれも秀逸です。

2. mozaic.fm

https://mozaic.fm

ガチンコ・テック系番組です。ホストの@Jxckさんが特定のテーマについてゲストを迎え、ほぼ雑談なしで、かなりコアな話をします。話す内容の技術レベル高いので流し聞きづらいかもしれませんが、モチベーションが上がります。2017年7月から、Monthly Webというシリーズが始まりました。毎回、かなりな熱量のエピソードばかりだったので、定期的に軽めのエピソードが聞けるのではと期待しています。

3. くもキャスト

http://kumocast.jp

mozaic.fmとは対照的に、2人の若者たちがゆるゆるとした雰囲気でおしゃべりをする番組です。ホストの1人が学生の頃から配信されているので、インターンに行ってきた話しや、就職した話、職場の話など、癒やされます。テック要素少なめでしたが、最近はゲストを迎えるようになって話題も広がり、面白くなってきそうです。期待しています!

4. codelunch.fm

http://codelunch.fm

Cookpadで働く@h13i32maruさんとオタク感漂う@iizukakさんが、たまにゲストを迎えて、毎回テーマに基づいて話す番組です。話してる内容のレベルはかなり高いのですが、雰囲気ゆるめで雑談も面白く(特に@iizukakさんのオススメ本のコーナーが良かった)、一番楽しみにしていた番組だったで、徐々に更新が途絶え、去年は1度しか更新されず悲しいです…。復活を切望しています!

5. Takram Podcast

https://itunes.apple.com/jp/podcast/takram/id1161310459

デザイナーさんも読んでくれているかもしれないので、最後にデザイン系の番組も混ぜておきます。Takram代表の田川さん直々にホストをしておられます。社をあげて力を入れて運営している感じがするので、今後もコンスタントに更新してくれるだろうと期待しています。内容は、毎回社内外からゲストを迎えて色んなテーマについて語られます。Takram自体が“Design Engineering”を謳っている会社なので、テック系の話題も豊富です7。

 

これから聞き始める人のために、ちょっとだけ紹介しましたが、他にもたくさんあるので、興味のある方はぜひこちらの「日本語Tech系Podcastいろいろ」という記事を参照してください。残念ながら更新が止まってしまった番組を含め、新しく始まった番組も細かくアップデートされていて、網羅性が高いです。Qiitaアカウントをお持ちの方は、いいね!しておけばリストの更新情報が通知されるので便利です。

おすすめのアプリ

購読はiOSアプリのOvercastをiPhoneに入れて使っています。Overcastの目玉は倍速再生機能が秀逸なところです。普通のアプリだと倍速再生した時に、単純に全体の再生速度が変わるだけなのですが、Overcastの場合、音声データの内容に応じてリアルタイムに再生速度を賢くコントロールしてくれます。例えば1.5倍に設定した時、無音部分は2.0倍、音声部分は1.2倍といった具合に、リアルタイムにタイムストレッチの設定を調整して、全体の再生時間を圧縮しつつも音声部分は聞き取りやすくしてくれます。また、タイムストレッチ機能自体もよくできていてピッチの変化も気になりません。大抵の日本語の番組は倍速で、英語の番組は0.75倍で聞いています。さらに、番組ごとにタイムストレッチなどの設定を記憶してくれる機能や、視聴の終わったエピソードデータを自動削除して端末容量を節約してくれる機能、話し声をブーストしてくれる機能など、細かく気が利いています。個人的に助かるのは、リストに加えても”Subscribe”しなければ、自動でDLされないことで、更新の多い番組も一応リストに入れておいて手動でDLするような使い方ができます。作者は自身もAccidental Tech Podcastという番組を配信している著名なエンジニア@marcoarment ‏さんです8。

おわりに

長い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございます!この記事を読んでポッドキャスト面白そうかも?と思っていただけたら嬉しいです。人気のある番組はサポーター/スポンサー制度を取り入れているところもありますが、そのほとんどが有志の方が自費で運営しておられます。そんな方々への感謝の気持ちと、この記事をきっかけに少しでもリスナーが増えてくれるといいな、そして、もっともっと良質なコンテンツが増えるといいなと思っています。


僕たちの孤独を埋めてくれるエンジニアを募集しています!


KARAPPOでは、エンジニアリング的視点から生まれる新しいアイデアや問題解決の提案、他の会社ではできないような面白いチャレンジをしていくために、今よりエンジニアの数を増やしたいと思っています。貢献したい/しても良いよという方は、ぜひこちらの募集要項をご覧になってご応募ください(この記事読んだよと書いてくださるとさらに喜びます)。よろしくお願いします!

  1. 2人ともデザイナーと兼務しています。
  2. 自社でWebサービスの運用もしているので、そこには2人とも参加していますが。
  3. 著名人のインパクトある発言だと、部分的にツイートされてしまう場合もあるのでしょうが、そうでなければ、これらはリスナーだけが知り得る貴重な情報です。
  4. Open Source Software
  5. ガジェット系の話題が多く、テック系随一の配信量を誇る長寿番組。
  6. 複数のMCが代わる代わるエピソードを配信するという面白いスタイルの番組。
  7. 「Takramが使うITとツール」というエピソードの、ファイル共有のためにオリジナルで作ったTakram Driveの話や、プロジェクトマネージメントのためのツールの話などが面白かったです。
  8. Instapaperの作者でもあります。
コラム

Published on 2017/6/27

Takayasu Sagawa

コラム

2017/6/27

Takayasu Sagawa

「Spotify」日本公開から8ヶ月

2016年11月10日Spotifyが日本でも一般公開され既に8ヶ月、日本でもかなり浸透してきた感があります。

Spotifyは広告付き無料プランがあり、スマホではシャッフルでしか曲が聞けなかったり、曲のスキップの回数制限があったり、ビットレートも制限されていたり、色々と機能制限があるのですが、垂れ流してラジオ感覚で聞くことができる無料プランが有るというのは相当な強みです。

ですが僕はそれまでに「Apple music」に月額980円を払っていたので、あえて課金する1としたら、どちらがいいんだろうということで、Spotifyの有料プランを試した上でそれぞれを比較してみました。

Apple musicの安心感とSpotifyのワクワク感

もう長年iTunesは使ってきたので、iTunesの楽曲ブラウズ画面に対しては、安心感があります。Apple musicが始まってからのUI自体は新しいものなのですが、それまで使ってきたiTunesのステップアップと言う感じで、そこまで戸惑うこともないです。

一方Spotifyはまず全体が真っ黒で「おっ」とちょっと身構える感じになりましが、同時に鮮やかなジャケットやプレイストのイメージがよく映える感じになっていて、ワクワクする感じがしました。

ちなみにSpotifyのプレイリストのイメージ画像は、自動生成で作られているような気がするのですが、「アーティスト写真+幾何学模様+文字+画像エフェクト」の組み合わせで、それぞれオリジナルに作られているように見えるような工夫がされています。

spotifyはソーシャルな側面が強い

spotifyは非常にソーシャル要素が強いです。

曲ごとの全世界累計再生数がわかったり、ユーザー同士でフォローし合うことで、その人が聞いている曲がわかったり、曲・アルバム・アーティストのembedコードをコピーしてBlogに貼り付けることができます。

社内でSlackにリンクを貼り付けると、Spotifyユーザーならその場ですぐに聞ける形で共有できて、これは楽しいなと思いました。

一方iTunesにもアーティストのフォローという機能があり、「Connect」というタブで、アーティストの投稿がFacebookのタイムラインのように見ることができるのですが、そもそも投稿しているアーティストが少ない上に仕組みが分かりづらくほとんど使用されていないのが実情です。

曲数

洋楽に関しては基本的にどちらもジャンル問わず十分に曲はあるように感じました。

ただSpotifyは、徐々に充実してきているものの、邦楽が若干弱い感じがします。Apple music自体も強いわけではないですが、Spotifyはもっと弱いです。例えば僕の好きな「UA」のアルバムは一枚もありません。

新しい音楽との出会い

これは圧倒的にSpotifyが強いと感じています。Spotifyをしばらく使っていると、自分のアイコンがカバーになったDiscover Weeklyというプレイリストが現れます。これが本当に優れているのです。自分の保存した曲、フォローしたアーティストなどの傾向から週に一度幾つかの曲がプレイリストに追加されるというだけのものなのですが、おすすめされるアーティストの比較的多くが、本当に全く聞いたこともないアーティストをおすすめしてくれるのです。しかもこれが自分的ヒット率がかなり高く、毎週追加される曲がとても楽しみです。

ちなみに以下が僕のDiscover Weeklyです。

iTunesの「For You」では、いまだにオルタナティブ好きなあなたへといって、ソニック・ユースをおすすめしてくるような感じなので、真新しい出会いとは程遠い感じがします。

ローカルファイルの取扱い

Apple Musicでのローカルファイルの取扱いは、もともとがiTunesであっただけにとてもスムーズで、CDからの読み込んでそれがそのまま他のApple Musicの曲と同じように扱うことができます。ローカルのどんな音声ファイルでも同じです。

対してSpotifyの方はあまりローカルファイルに関して重要視していないような印象です。一応ローカルの読み込むフォルダを指定して、読み込むことは出来るのですが、My Musicとは別で管理され、アーティストやアルバムからも検索できません。CDから取り込むということもできません。

Spotifyの決定的な難点

有料版のspotifyを使っていて、かなりいいなあと思いながら使っていたのですが、しばらく使っていて決定的な難点に出会ってしまいました。

spotifyではMy Musicに曲を保存するとサイドバーから自分の曲のカタログにアクセスできるのですが、この保存できる曲数が1万曲までという制限があることに気づきました。毎日のように新たに出会った好みの音楽をポンポンと追加していたので、すぐに制限に引っかかってしまいました。新たに曲を保存するためには、保存した曲を減らさなければならず、これに耐えることは出来ませんでした。

まとめ

というわけでSpotifyには多数のいいところがあるのですが、上記の決定的難点によって、メインのストリーミングサービスにはなりえませんでした。

結果落ち着いたスタイルは、メインではApple Musicを使い、Spotifyの無料プランでDiscover Weeklyを聞き、気に入ったアーティストはApple Musicで追加するというスタイルに落ち着いています。

今後また両サービスとも変化していくと思いますし、Google Play MusicやLine Musicなどその他のストリーミングサービスもありますので、どう利用するかは変わるかもしれません。

いずれにせよ日々の生活に音楽は欠かせない上に、この音楽を掘るという行為自体が、それが例えデジタルな形の無いものであっても僕を夢中にさせてくれます。だからこそよりよいスタイルを模索していきたいです。

  1. お金を支払うという意味で使っています。